にやついて手を挙げるその男の舌の上
無垢な表情で君は踊る
筋肉に見える張りぼての腕に支えられて
安心して君は眠っている
君が屈託なく笑う時
誰かが怯えて泣いている
暗闇の中でひとりぼっち
自分を抱きしめることも出来ないで
宛名のない空虚なエール
かしこまったふざけた祭り
白衣を着たナチ
軍服を着たビジネスマン
当事者ぶった裏切り者
君が軽やかに街を歩むとき
彼らは絶望した
君が見たいものだけを見ているとき
彼らは存在を否定された
隣人であった君も
あの人間の皮を被った悪魔と変わらない
僕もまた絶望した
決して絶望しない者のために
心臓は乱れた脈を打つ
僕は生きる
絶望してもなお
いや
絶望から始めるために
決して絶望しない者のために