Photo credit: Jun Kaneko on VisualHunt.com
人混みであなたを探すと
少し遅れると電話があった
僕は高い場所からあなたを見つける
喧噪を縫って後を追う
思ったよりも道路は眩しくて
君は照れてばかりいた
川沿いの道を抜けると
花びらが宙を舞っていた
胸が高鳴ってどうすればいい
落ち着いたふりで歩く
花吹雪は少し寒くて
笑い合いながら車に戻る
僕はあなたに見とれてばかりで
あなはた顔をそらしてばかりで
でも何度も笑い合い
いつまでも話し合った
温室に向かいながら
やっと僕はあなたの全身を見た
眩しくて目を細めた僕は
嬉しくて世界中が輝いてみえた
ずっと緊張して
違う部屋の鍵を探ったり
頭をぶつけてあなたを笑わせた
そのあとやっと部屋を暗くした
その日僕たちは
誰よりも美しく身体を震わせ
何よりもひとつだった
まるで前からひとつだったみたいに
僕はあの日から
何も変わってはいない
今日も続くこの恋は
僕の胸を締めつける
あなたが幻でないと
確かめたのはあの日から
僕はずっと
夢の中にいるようだった
どうして
どうしてこうなったのだろう
あなたは冷たく背を向けて
僕はもうすがりつきもしない
あんなにも好きだった
いや今はもっと好きだよ
なのにどうして
どうして
随分前に胸は張り裂け
涙は枯れた
歯も折れて
耳は塞がれた
それでも諦めなかった
好きだもの
それなのになぜ
あなたから離れていく
そういえば
あの場所も
なんだか違って見えた
あなたは不幸そうだ
お前ではないと
毎日突き付けられた
もうきっと思い出せなくなる
あの美しい日々
どれだけたくさんの夜を
あなたを想って過ごしたか
月を見て涙を流し
花を見て胸が詰まった
何を見てもあなたを想った
どんな詩もあなたをうたった
すべてはあなたに
あなたにだけ捧げたのに
僕はこのまま
すべての扉を閉じて
すべての窓を塞ぎ
暗闇で過ごすだろう
そのうち思い出も消える
美しかった僕たちは
何もなかったことになる
永遠に永遠に