愛しさ

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湿気の上る路地を歩くとき

それは僕とともにあった

屋根の向こうに月を見つけるとき

それは僕の胸で輝いた

美しい瞳から目が離せなくなるとき

それは大きな花を咲かせた

 

 

 

それは僕のあした

世界を照らす太陽

渇きを癒す恵みの雨だった

 

 

 

 

僕は今

完全な暗闇の中で

それを剥がそうとしている

ただ鍵をかけるのじゃない

捨て去ろうとしている

こんな日が来るとは

思っていなかった

 

 

 

 

壊れてしまった僕の心は

もう元には戻らないだろう

そんな心にはふさわしくない

ただしく弔わなければ

永遠の亡霊になるだろう

 

 

 

 

あんなにも大切に抱いてきたもの

過去を癒し未来を照らすもの

すべての色の源

近づいてくる優しい靴音

 

 

 

僕はこの手で掻きむしる

ゴミ箱に捨て

時には何度も噛んでは吐く

大切なものだから

この手できちんと握り潰す

 

 

 

ああ

あああああ

待ってくれ

待って欲しい

 

 

 

 

僕は首を何度も振り

恋という言葉を忘れ

愛という行為を捨て

好きを麻痺させる

あんなに大事だったもの

僕のすべてを捨てる

 

 

 

 

胸が潰れる

でも腐るのだけはだめだ

きちんと葬る

 

 

 

 

 

さようなら

僕の愛しさ

さようなら

さようなら