Photo credit: blachswan on Visualhunt
小さな船着き場に
あなたが綱をかけてくれた
粗末な船はかろうじて浮かび
白波立つ水面に浮かぶ
随分前から
何度も何度も繰り返し
綱を外される夢を見る
あなたが見せる夢だ
真っ黒な空とうねる波のせいで
水平線は見えないけれど
吸い込まれそうなあの向こう側は
二度と戻れない奈落に落ちている
何度も見る夢は
現実と区別ができない
いつもいつもひとりで
絶え間なく波に翻弄されている
船を繋いだあなたは
いつも綱に手をかけている
離すかもしれないし
悪夢を見させるだけかもしれない
気がつけば岸の近くにいるが
あの灯りが本物なのか信じられない
今にも波で胴を割られ
深い深い水の奥に引き込まれそうだ
僕は暗い青に飲み込まれるのなら
それでも構わない
だけどこの場所を離れれば
そこにも辿り着けない
あなたのいない世界を
何度も何度も考える
何度も考えるうちに
あなたがいないように感じる
岸に向かって
風が吹く
僕は目を瞑り
水の匂いを嗅ぐ