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小さな船着き場に

あなたが綱をかけてくれた

粗末な船はかろうじて浮かび

白波立つ水面に浮かぶ

 

 

 

 

随分前から

何度も何度も繰り返し

綱を外される夢を見る

あなたが見せる夢だ

 

 

 

 

真っ黒な空とうねる波のせいで

水平線は見えないけれど

吸い込まれそうなあの向こう側は

二度と戻れない奈落に落ちている

 

 

 

 

何度も見る夢は

現実と区別ができない

いつもいつもひとりで

絶え間なく波に翻弄されている

 

 

 

 

船を繋いだあなたは

いつも綱に手をかけている

離すかもしれないし

悪夢を見させるだけかもしれない

 

 

 

 

気がつけば岸の近くにいるが

あの灯りが本物なのか信じられない

今にも波で胴を割られ

深い深い水の奥に引き込まれそうだ

 

 

 

 

僕は暗い青に飲み込まれるのなら

それでも構わない

だけどこの場所を離れれば

そこにも辿り着けない

 

 

 

 

あなたのいない世界を

何度も何度も考える

何度も考えるうちに

あなたがいないように感じる

 

 

 

 

岸に向かって

風が吹く

僕は目を瞑り

水の匂いを嗅ぐ