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なぜだろう
時計の針が進む音がする
僕の時計は電子時計なのに
部屋の中で生温かさが漂い
家の外ではすべてがゆっくりだ
真夜中だというのに
どこかで鳥が鳴いている
なんという名の鳥だろう
昼間に聴いたことがない声
僕はあなたを想っている
全身に力を入れた後
おもいきり力を抜いてみる
束の間さざ波が押し寄せて
でも高波にさらわれる
僕は自分を抱きしめる
錨を失った船のように
ベッドの上で揺れている
起き上がっても
寝返りを打っても
そのうちどこかへ流される
何度も思い出す
あなたの言葉
美しい音楽もあれば
恐ろしい警告音もある
僕は一晩中耳を澄ます
僕はもう
とっくに眠るのを諦めて
カーテンを開けて外を見る
街路樹が街灯に照らされて
ちらちらと反射する
何度も繰り返される
この夜のことを
僕はあなたに言わずにおこう
あなたに触れたいことも
黙っていよう
聞き慣れた鳥の囀り
やってきた朝を
僕は持て余している
ふらふらと部屋を出て
コーヒーを飲む
僕を見るあなたを思い出す
もう一口コーヒーを飲む