VOID

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穏やかな顔をしているが

口を結び押し黙っている

同じ皺

同じ沈黙

あなたにはそう見えるかもしれないが

 

 

 

 

あなたを見上げる花は

もうすっかり変わった

あなたが嘆き悲しみ

怒りにまかせて詰っている間に

いつしかすっかり変わった

花だけは同じ

だが根はなくなった

もうどこへでも流される

 

 

 

 

 

先に変わったのはあなただ

ただそれを言わないだけ

 

 

 

 

まだよかった

寂しさに震えているころは

涙で夜明けを迎える日も

だが今はなにもない

なにも感じない

枯れかかっても声は出さない

 

 

 

 

 

悲しくて悲しくて悲しくて

そして悲しくなくなった

もうなにもない

立ち尽くして

虚空だけを見つめる

呆けた顔で

 

 

 

 

 

屈託なく笑って

子犬のようにしがみついたのは

もういつかの幻

記憶は薄れ

本当か嘘か

もうどうでもいい

もうすぐ枯れて砂になる

 

 

 

 

 

大切だった

あの愛しさ

もう意味はない

 

 

 

 

 

汚れ切った汚泥の中に

微かに光るあの粒

もうすぐ消える

永遠に失われる

 

 

 

 

 

 


おそろしい予感がしているから

防衛反応として書いた

悪い未来を描いておけば

少しでも耐えられるだろうか

たぶん無理だ