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あの日からずっと
ここに立ち尽くしている
身じろぎもせず
目を閉じることもない
無残な荒野をわたる風と
絶え間ない星の動きに
心は何も感じない
少し前までは
輝く日の光や
葉についた透明な雫
鳥の歌声や
軽やかに揺れる髪を
思い出していた気もする
だが今は何もない
僅かに
ほんとうに僅かに
低い音が聞こえる
幾重にも重なった
地層の向こうから聞こえるのか
低く震えている
わたしはほんの少し
眉を動かす
この震えがいつか
巨大なうねりとなって
私の見ているこの世界を
天地もわからぬほど破壊する
わたしを苦しめ続けた
この世界のありふれた理
美しい言葉に隠された欺瞞
愛という名の無慈悲なエゴイズム
誰彼構わぬそのすべてが
塵と化すまで破壊しつくされる
だとしても
わたしには喜びはない
その瞬間(とき)もまた
この場から動きもせず
世界を見ているだろう
声も出さず
涙も落とさずに
来たれ
さらば死なん
来たれ