Photo credit: Dean Hochman on VisualHunt.com
誰とも話したくない
何も聞きたくない
それなのに
ひとりで言葉を紡ぐ
哀しみを言葉にしたい
怒りを言葉にしたいと
なぜかここに来てしまう
誰にも届かない言葉が
俺を癒すことはないが
まるで完全に密封された
コンクリートに囲まれた箱の中で
何もない本当に何もない壁に向かい
言葉を投げつけ反響を聞いている
俺にしか聞こえない
俺にしかわからないのに
耳は潰れてしまいそうだ
誰も知らない
もちろんあなたも
誰とも話したくない
何も聞きたくない
それなのに
ひとりで言葉を紡ぐ
なんとむなしいのだろう
すべてはむだに思える
何をしたって意味はない
あなたはもういないし
俺を思い出しもしない
俺が俺の罪を反芻したところで
もうなんにもならない
罪が責め立てることに
もう何も感じない
のたうち回ることはない
石の箱
石の棺だ
俺の声が反響し
俺の鼓膜を破り
それなのに静寂はこない
いつまでもざわめいている
誰とも話したくない
何も聞きたくない
それなのに
ひとりで言葉を紡ぐ
詩ではない
詩ではないんだ
ただ
ただ
泣いているだけだよ