Photo credit: James Loesch on VisualHunt
ひっきりなしに車が通る
けたたましい救急車のサイレンも
騒がしい子どもたちの声も
混ぜこぜだ
部屋は天井から熱く
空気は淀んでいる
流れ続ける汗を放っぽって
座り心地の悪い椅子に
僕は背中を預けた
落ちぶれちまったことに
気づかせたのは
最愛のあなただ
美しい緑
静かなせせらぎ
命を謳う鳥の声
すべてがごまかしだった
睦み合ったことも
意味は残さない
なんてことのないように
僕の愛は捨て置かれた
憐みのまなざしも
とってつけたような言葉すらない
ただ打ち捨てられた
それでも僕は
あなたが心配だ
落ちぶれちまったくせに
一人前に気にかける
あなたは気にもとめていない
今日は少しだけ涼しい
季節がうつろう
それがなんだ
時が過ぎても意味はない
僕は失った
僕を守る意味を
落ちぶれちまったことに
気づかせたのは
最愛のあなただ
何をしていたって
痛いほどよくわかる
どうわめこうと
聞く者はいない
若い頃からの矜持だけは
捨ててはいないさ
だからこそ僕はひとりだ
僕は意固地に
誰にも知られずに生きた
あなただけが知ってくれた
あなただけが知っていた
でもあなたは
僕を忘れる
もう忘れている
落ちぶれちまったことに
気づかせたのは
最愛のあなただ