Photo credit: clive sax via Visual hunt / CC BY-NC-SA
気難しさと潔癖が
僕を台無しにした
愚かにも
無垢なものを求め
乾ききった荒地を
あてもなく歩いた
美しい花も
吹き抜ける風も
凛と強く微笑みながらも
その胸には
秘めた想いを孕む
僕もそうあるべきだったのか
僕も
あなたに咲いて愛でられ
あなたの髪をくすぐりたい
あなたの美しさを前に
気難しさも潔癖も
僕は捨ててしまいたい
それなのに僕は
そのままの僕で
ただあなたを求めた
あなただけを
ちっぽけな部屋
小さな覗き窓から
かすかに見える
見たことのない瞳が
何かを見つめる
たちこめる甘い香りに
その瞳はうっとりして
僕は息を止める
思わず手を伸ばし
僕の薄い皮膚は
血を滲ませる
けれども僕は
月に抱かれた
一番丸い月
僕は静かに目を閉じて
小さく強くつぶやく
もう何も見なくていい
もう他に何もいらない
遠い海の底に
その鍵を僕が捨てて
永遠に忘れよう
あなたがいつでも
取り戻せるとしても
僕は忘れよう
気難しさも
潔癖も捨てよう
僕は
荒れ地を抜けて
森に入りたい
僕は
美しさを信じよう
だって
あなたは美しい
何よりも
僕はもう怖れない
あなたが
僕を捕まえてくれる
気難しく潔癖でも
あなたは傍にいてくれた
そしてあなたは
僕を森へと導く
僕の震える手を
その柔らかい手で握って
離さずにいてくれる
あなたは凛と強く
僕は弱々しい
でも森に入れば
僕はあなたを導くよ
ずっとずっと