夜空に月はなく
森は黒く眠っている
水の音だけがかすかに聞こえ
虫たちは唄っていた
わずかな灯りをたよりに
俺たちは馬鈴薯を食べていた
ものも言わず
ただ穏やかに
煌々ときらめく光の中で
奴らは笑った
にやにやと
そう、にやにやとだ
彼らは身体を金で飾り立て
ノートにメモをした
偽りの言葉を
隙間なく
奴らは幾万の言葉を操り
俺たちに残された言葉は少ない
俺たちの飲む水も
もうすぐ干上がりそうだ
人の姿をしたゴブリン
奴らはナイフとフォークをうまく使いながら
すべてを平らげる
すべすべの布で身体中を覆い
眠らずに踊る
もう
もう無理だ
奴らがばらまく汚れが
俺たちの土地を殺す
取り返しがつかないほどに
何もかもを壊す
そしていつも最後に
にやにやと笑う
神妙に頭を下げながら
そう、いつもにやにやとだ!
食事のあと
ほんの少しだけ
君は笑った
薄い布切れだけを纏い
土のついたその顔は
透き通っている
君の指先には
大地が刻み込まれ
がさがさとしたその掌で
俺を撫でる
気がつけばいつも俺は
穏やかな眠りから覚める
俺は行くよ
奪われたものを取り返すために
君がなだめてくれた牙を
剥き出しにして
穏やかな馬鈴薯の食事
一杯の水のために
わずかな灯りと
君の美しい微笑みのために