Photo credit: Bernd Thaller on Visualhunt.com
湿気の上る路地を歩くとき
それは僕とともにあった
屋根の向こうに月を見つけるとき
それは僕の胸で輝いた
美しい瞳から目が離せなくなるとき
それは大きな花を咲かせた
それは僕のあした
世界を照らす太陽
渇きを癒す恵みの雨だった
僕は今
完全な暗闇の中で
それを剥がそうとしている
ただ鍵をかけるのじゃない
捨て去ろうとしている
こんな日が来るとは
思っていなかった
壊れてしまった僕の心は
もう元には戻らないだろう
そんな心にはふさわしくない
ただしく弔わなければ
永遠の亡霊になるだろう
あんなにも大切に抱いてきたもの
過去を癒し未来を照らすもの
すべての色の源
近づいてくる優しい靴音
僕はこの手で掻きむしる
ゴミ箱に捨て
時には何度も噛んでは吐く
大切なものだから
この手できちんと握り潰す
ああ
あああああ
待ってくれ
待って欲しい
僕は首を何度も振り
恋という言葉を忘れ
愛という行為を捨て
好きを麻痺させる
あんなに大事だったもの
僕のすべてを捨てる
胸が潰れる
でも腐るのだけはだめだ
きちんと葬る
さようなら
僕の愛しさ
さようなら
さようなら