Photo credit: Rmonty119 on VisualHunt.com
カーテンの隙間から漏れる光を見ている
時折何かが通りすぎる影が見える
色のついた影だ
嗚呼あの日僕は影だった
色のついた影だったなって
なつかしさに胸が締め付けられる
部屋の空気は冷たくて
僕は毛布から出ることができない
外は案外あたたかいかもしれない
君が連れ出してくれるなら出かけるのに
どうすればいい
君がいないのに
腹は減ってない
でも食べないと死んでしまうだろう
でも何を食べればいい
君がいないのに
テレビをつけてみる
うるさくてボリュームを下げた
部屋の中を光がちらちらする
消したらまたまっくらだ
そとにいこうか
きっと草の匂いがする
もしかしたら今日あたり
陽炎がゆらゆらしているかもしれないぞ
意外と夕方には雨が降るかもしれないし
でも傘を持つかどうかなんて
考えることもないさ
君がいないのに
サングラスをして
帽子をかぶる
君が買ってくれたキャップ
風呂に入ってなくてもわからないだろう
身体が臭う気もするけど
きれいにしてどうなる
君がいないのに
思い切って外に出る
地面ばかり見たくなるから
わざと背筋をのばして歩く
こどもたちが通る
ひとりが笑いかけてくる
僕も思わず笑いそうになるけど
すたすたと先を急いだ
こどもがかわいくたって
君はいないんだぞ
いっそのこと遠くへ行こう
当てもない方がいいけど
たぶんそうもいかないんだ
だけど高速を飛ばせば
少しは気晴らしになるかな
でも後ろに逃げていく風景に
なんの未練もないのは
君がいないからなんだろう
シートを倒して目を瞑る
少し眠りそうになる
ここはどこなんだろう
君に尋ねてみたら
ちゃんと教えてくれた
ほんとうは地名なんか知りたくない
君の声が聴きたいんだ
でも消えた
全部まぼろし
シートを起こして
涙を拭く
泣いたって意味はない
君がいないのに
ねえ
帰ってきて
辛くなって前に書いていたものを公開した。
寒い季節だった気がする。
読むと余計つらくなるね。