Photo credit: John Brighenti on VisualHunt.com
駐車場に車を停めて
シートを少し倒す
遠くに見えるあなたの窓には
人影はないけれど
僕はじっと見つめる
無邪気な僕たちなら
まるで追いかけっこのように
お互いの姿を見つけては
笑い合うところだ
君の名を呼んだのは
もうこれで何度目だろうか
野の草のように
空の星のように
海に飲まれる雫のように
いつもいつも
そういつも
僕は君を呼んできた
緑が輝く川辺
いじらしい燕の鳴く声
おいしくもない観光地の食事
きらめく車の列
ついこの間の出来事だ
僕は幸せだった
君はどうだったのだろう
僕たちは引き裂かれる
陳腐な理由で
自分の不甲斐なさに泣いたあの日
君が抱きしめてくれたあの日から
心地よい歌も
心を満たす物語も
何もなく
そう本当に何もなく
陳腐に
ただ陳腐に
生活に負けてしまう
自分の胸を何度刺しても
意味がない
意味がないんだ
君の美しい姿
同じように美しかった僕
もうどこにもない
ただ
僕の胸の奥の
波のない湖
ずっと奥底の黒い
音のない場所
黄泉と見分けがつかない
そんな場所で
静かに漂っている
君が僕を忘れたら
僕は消えるのか
いや消えたいのか
でも君は
美しいまま
そこかしこに
飛びまわるから
僕の望みを
誰も奪えない
哀しみは哀しみのままに
どんなに胸が締め付けられても
そのままに漂う